医療法人の役員変更届、登記申請、登記届の作成方法
医療法人の役員改選時には、役員変更届、登記申請、登記届の3つの手続きが必要となります。
本稿では、それぞれの手続きについて実務的な観点から解説します。
役員変更届(2年毎の改選)
2年毎の役員改選時の手続きについて説明します。
なお、任期がずれている役員がいる場合には、改選時に役員全員の任期を揃えることをお勧めします。
これにより、その後の手続きがスムーズになります。
(1)役員の任期の確認方法
- 設立時役員の任期
– 定款末尾の附則で確認可能です
– ただし、設立後の定款変更の際に削除されている場合もあります
– 削除されている場合は、過去の議事録等で確認しましょう
– 確認できない場合は、都道府県に相談することをお勧めします - 理事長の任期
– 医療法人の謄本で確認可能です
– 通常2年となっています
– 就任日と任期満了日を確認しましょう
– 重任の場合でも確認が必要です - 理事長以外の役員の任期
– 通常、理事長の任期と一緒です
– 過去の議事録などでも確認しましょう
– 管理者は、少なくとも管理者就任日には理事に就任していることを確認する必要があります
– 任期のずれがある場合は、この機会に揃えることを検討しましょう
(2)手続き方法
全員重任の場合
任期満了に伴う重任の場合も、原則として役員変更届を提出する必要があります。
提出書類
- 基本書類
– 役員変更届(表紙)
– 定時社員総会議事録
– 理事会議事録 - 添付書類
– 重任の場合でも、都道府県により追加書類が必要な場合があります
– 事前に確認することをお勧めします
役員に変更がある場合
提出書類
- 基本書類
– 役員変更届(表紙)
– 定時社員総会議事録
– 理事会議事録 - 新役員関連書類
*都道府県等により異なりますが、以下は東京都の例です
– 印鑑登録証明書(原本)
– 就任承諾書
– 履歴書(実印で押印)
– (歯科)医師免許証(理事長交代の場合) - 退任役員の書類
– 辞任届(必要な場合)
– その他都道府県が求める書類
登記申請
(1)基本的な手続き
- 申請先
– 主たる事務所の所在地を管轄する法務局
– 管轄の法務局は法務局HPで確認可能です - 申請方法
※ 詳細は法務局HPの「商業・法人登記申請手続き(医療法人)」をご参照ください - 申請期限
– 変更から2週間以内
– 期限を過ぎる場合は過料の対象となる可能性があります
(2)必要書類
- 登記申請書
– 正確な記載が必要です
– 記載例を参考に作成してください
– 登記事項は明確に記載します - 添付書類
– 社員総会議事録
– 理事会議事録
– 印鑑証明書(新役員の場合)
– その他必要書類 - 手数料関係
– 医療法人の場合、登録免許税はかかりません
(3)注意点
- 期限
– 変更から2週間以内の申請が必要です
– 期限に余裕を持った準備をお勧めします
– 事前に書類の確認をしてもらうことも可能です - 申請書の作成
– 正確な情報の記載
– 添付書類との整合性
– 記載漏れの防止
登記届
登記事項届は、登記が完了した後にその報告を都道府県へ行うためのものです。
(1)提出書類
- 基本書類
– 登記届(表紙)
– 履歴事項全部証明書(原本) - 記載事項
– 登記事項の内容
– 登記年月日
– 提出年月日 - 追加書類
– 都道府県により追加の書類が必要な場合があります
– 事前に確認することをお勧めします
(2)記載上の注意点
- 日付関係
– 登記年月日は完了謄本で確認
– 提出日は実際の提出日を記載
– 日付の整合性に注意 - 内容確認
– 登記事項の正確な記載
– 添付書類との整合性
– 記載漏れの防止 - 提出方法
– 提出部数の確認
– 控えの準備
– 郵送の可否
実務上の注意点
(1)スケジュール管理
役員改選時の流れ
…
- 社員総会開催の準備
- 社員総会開催
- 役員変更届提出(概ね1ヶ月以内に遅滞なく)
- 登記申請(2週間以内)
- 登記完了
- 登記届提出
…
期限管理のポイント
- 社員総会の開催時期の設定
- 書類準備の時間確保
- 提出期限の管理
- 予備日の設定
事前準備
- 新役員の書類準備
- 印鑑証明書の取得
- 医師免許証の写しの準備
(2)書類作成時の注意点
共通事項
- 正確な記載
- 押印の確認
- 日付の整合性
- 記載漏れの防止
添付書類
- 原本と写しの区別
- 有効期限の確認
- 部数の確認
- 原本証明の要否
保管
- 控えの保管
- 原本の保管
- データでの保存
(3)都道府県による違い
提出書類
- 様式の違い
- 必要書類の違い
- 提出部数の違い
- 原本証明の要否
確認事項
- 事前相談の要否
- 提出方法
- 受付時間
- 郵送の可否
対応方法
- 早めの確認
- 電話での問い合わせ
- 窓口での相談
まとめ
医療法人の役員変更時の手続きは、役員変更届、登記申請、登記届の3段階で行います。
特に以下の点に注意が必要です。
- 期限の遵守
- 段階的な手続きの計画的実施
- 余裕を持った準備
- 期限管理の徹底
- 書類の完備
- 必要書類の確認
- 原本の準備
- 記載内容の正確性
- 押印の確認
- 手続きの確認
- 都道府県による違いの確認
- 提出方法の確認
- 必要部数の確認
- 事前相談の活用
なお、都道府県により要件が異なる場合がありますので、事前に確認することをお勧めします。
特に提出書類や様式については、管轄する都道府県等に確認するようにしましょう。
また、不明な点がある場合は、早めに相談することで、スムーズな手続きが可能となります。
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