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医療法人の役員変更届の様式

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医療法人の役員変更届は、役員に変更があった際に都道府県知事等に提出する重要な書類です。

本稿では、役員変更届の基本的な様式と記載例について、実務的な観点から解説します。
(常務理事を設置していない医療法人の場合)

役員変更届の提出書類一覧

役員変更届の提出にあたっては、下記1~7の書類が必要となります。
都道府県等によって若干の違いがありますので、着手前に必ず確認してください。

  1. 役員変更届(表紙)
    – 届出内容の概要を記載する基本書類です
    – 変更した役職名、就任者氏名、退任者氏名等を明記します
  2. 定時社員総会議事録
    – 2年に1回の役員改選時に提出する議事録です
    – 決算承認と役員改選に関する決議内容を記載します
  3. 臨時社員総会議事録
    – 改選時以外の任期途中での変更の際に提出する議事録です
    – 役員の交代理由と新任役員の選任に関する決議を記載します
  4. 理事会議事録
    – 理事長を選任する場合に必要となる議事録です
    – 理事長の選定に関する決議内容を記載します
  5. 新役員の添付書類
    – 印鑑証明書
    – 役員就任承諾書
    – 履歴書
    ※都道府県等により提出書類が異なる場合があります
  6. 理事長の医師免許証(写)
    – 理事長が交代する場合に必要となります
    – 歯科医師の場合は歯科医師免許証の写しを提出します
  7. 旧役員の辞任届
    – 都道府県等により必要な場合があります
    – 辞任する役員の押印が必要となることがあります
    – 辞任する前に押印をいただけるよう、早めの手配をお勧めします

役員変更届の記載方法(例)

(1)変更届表紙の記載要領 ※都道府県等により、異なります。

役員変更届の表紙には、以下の項目を明確に記載します。

  • 変更した役職名
    – 該当する役職(理事長、理事、監事)をすべて記載
  • 就任者氏名
    – 役職名を括弧書きで明記し、氏名を記載
    – 例:(理事長)山田太郎
  • 退任者氏名
    – 同じく役職名を括弧書きで明記
  • 変更理由
    – 具体的な理由を簡潔に記載
    – 例:任期満了に伴う改選、理事高齢のため 等
  • 変更年月日
    – 実際に変更が効力を生じる日付を記載

(2)重要な添付書類の作成ポイント

社員総会議事録

定時社員総会議事録には以下の内容を必ず記載します。

  • 開催日時、場所
  • 出席社員数と定足数の充足状況
  • 議長の選任に関する記載
  • 決議事項(役員改選の場合は第1号議案を決算承認、第2号議案を役員改選とすることが一般的です)
  • 議事録署名人の記名押印

特に、役員改選に関する記載では、以下の点に注意が必要です。

  • 重任・新任の別を明記
  • 就任承諾の確認を記載
  • 出席者全員の記名押印
理事会議事録

理事長選定に関する理事会議事録では以下の内容を漏れなく記載します。

  • 開催日時、場所
  • 出席理事及び監事の氏名
  • 定足数の充足状況
  • 理事長選定に関する決議内容
  • 就任承諾の確認
  • 出席理事及び監事全員の記名押印

(3)事例別の記載例

定時改選の場合
  • 全員重任のケース
    – 変更理由:任期満了に伴う改選
    – 退任者氏名の欄は空欄
    – 社員総会議事録に全員重任である旨を明記
  • 理事交代のケース
    – 変更理由:任期満了に伴う改選
    – 退任する理事と新任の理事を明記
    – 社員総会議事録に新任・重任の別を明記
  • 理事長交代のケース
    – 変更理由:任期満了に伴う改選
    – 理事会議事録による理事長選定が必要
    – 医師免許証の写しの添付が必要
臨時変更の場合
  • 理事交代のケース
    – 変更理由:具体的な理由を記載(例:理事高齢のため)
    – 臨時社員総会議事録が必要
    – 新任理事の添付書類一式が必要
  • 理事長交代のケース
    – 変更理由:具体的な理由を記載
    – 理事会議事録による理事長選定が必要
    – 新理事長の医師免許証の写しが必要

実務上の注意点

(1)提出時期について

  • 変更があった日から遅滞なく提出
  • 役員改選の場合は、改選日から遅滞なく提出
  • 提出が遅れる場合は事前に相談することをお勧めします

(2)書類作成上の注意点

  • 押印が必要な書類は、認印ではなく実印を使用場合も多い
  • 日付はすべての書類で整合性を確認
  • コピーは鮮明なものを使用

(3)よくあるミス

  • 日付の不整合
    – 社員総会議事録と理事会議事録の日付
    – 変更年月日と議事録日付の整合性
  • 添付書類の不備
    – 印鑑証明書の有効期限切れ
    – 医師免許証の写し忘れ
  • 押印漏れ
    – 議事録の署名押印漏れ
    – 就任承諾書の押印漏れ

スムーズな提出のためのチェックポイント

  • 事前確認事項
    – 提出先の都道府県等の要件確認
    – 必要書類の確認
    – 期限の確認
  • 書類作成時の確認
    – 日付の整合性
    – 氏名の記載方法の統一
    – 押印の確認
  • 最終確認事項
    – 書類の部数
    – コピーの鮮明さ
    – 添付書類の有効期限

まとめ

役員変更届の提出は医療法人の運営において重要な実務の一つです。
書類の不備による差戻しを防ぐため、本稿で解説した点に留意して慎重に作成してください。

特に、都道府県等により要件が異なる場合がありますので、事前確認を怠らないようにしましょう。
なお、内部での意見調整が必要な場合は、十分な余裕を持って準備を進めることをお勧めします。

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事務所代表・記事監修
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中村 弥生(なかむら やよい)

渋谷区の医療法人の事務長として、総務・経理・各種手続き業務を統括。
退職後、税理士事務所勤務を経て、2006年に行政書士事務所を開業。以来、医療法人専門の行政書士事務所として業務を行っている。
現在、行政書士向けに「医療法人の行政手続き実務講座」を開講中。
2025年1月、書籍「はじめてでもミスしない いちばんわかりやすい医療法人の行政手続き」を出版予定。

【実績】 医療法人の設立100件以上、定款変更300件以上。保健所、厚生局手続き300件以上。役員変更や決算届出等2,000件以上。

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