医療法人の臨時業務(管理者変更以外)
医療法人の臨時業務のうち、任期途中での役員変更について解説します。
主な手続きとして、以下のケースがあります。
1、理事・監事交代の場合
2、理事長交代の場合
それぞれのケースについて、具体的な手続き方法と必要書類を説明します。
主な臨時業務と提出先
(1)手続き別の提出先と時期
- 役員変更届
– 提出先:都道府県等
– 提出時期:遅滞なく提出(概ね1月以内)
– 内容:役員の変更内容を届け出る基本書類 - 登記申請
– 提出先:法務局
– 提出時期:変更後2週間以内
– 内容:変更事項の登記を申請する手続き - 登記届
– 提出先:都道府県等
– 提出時期:遅滞なく提出(概ね1月以内)
– 内容:登記完了の報告を行う手続き
(2)手続きの種類と必要書類
- 理事・監事交代手続き
– 役員変更届のみの提出が必要
– 新任役員の各種書類が必要
– 退任役員の辞任届が必要な場合あり - 理事長交代手続き
– 役員変更届
– 登記申請
– 登記届
理事・監事交代の場合
(1)役員変更届
理事の人数は、変更後も定款で定める理事定数の範囲内でなければなりません。
理事の辞任により理事定数の下限より少なくなったり、新理事就任により理事定数の上限を超えたりしないよう、注意が必要です。
提出書類
- 基本書類
– 役員変更届(表紙)
– 臨時社員総会議事録 - 新役員関連書類
– 印鑑証明書(原本)
※発行後3ヶ月以内のものを準備
– 就任承諾書
※通常、実印での押印が必要
– 履歴書
※通常、実印での押印が必要
– その他都道府県が求める書類 - 旧役員関連書類
– 辞任届
※実印での押印が必要な場合があります
※早めに手配することをお勧めします
(2)書類作成上の注意点
- 役員変更届(表紙)
– 変更した役職名の正確な記載
– 就任者氏名、退任者氏名の正確な記載
– 変更理由の明記
– 変更年月日の正確な記載 - 臨時社員総会議事録
– 開催日時、場所の記載
– 出席者数と定足数の確認
– 決議内容の明確な記載
– 就任承諾の確認記載 - 新役員書類
– 印鑑証明書の有効期限確認
– 就任承諾書の日付確認
– 履歴書の記載内容確認
– 押印の確認
理事長交代の場合
(1)役員変更届
提出書類
- 基本書類
– 役員変更届(表紙)
– 臨時社員総会議事録
※現理事が理事長に就任する場合は不要です
– 理事会議事録
※理事長選定に関する決議内容を記載 - 新理事長関連書類
– 印鑑証明書(原本)
※発行後3ヶ月以内のもの
– 就任承諾書
※通常、実印での押印が必要
– 履歴書
※通常、実印での押印が必要
– (歯科)医師免許証
※鮮明な写しを準備 - 旧理事長関連書類
– 辞任届
※実印での押印が必要な場合があります
※早めの手配が重要です
(2)登記申請
- 申請方法
※詳細は法務局HPの「商業・法人登記申請手続き(医療法人)」を参照してください - 必要書類
– 登記申請書
-(臨時社員総会議事録)
– 理事会議事録
– 新理事長の印鑑証明書
– その他必要書類 - 注意点
– 2週間以内の申請期限厳守
– 管轄法務局の確認
– 必要書類の完備
– 手数料の準備
(3)登記届
登記事項は、登記が完了した後にその報告を都道府県へ行うためのものです。
提出書類
- 基本書類
– 登記届(表紙)
– 履歴事項全部証明書(原本) - 記載事項
– 登記事項の内容
– 登記年月日
– 提出年月日 - 注意点
– 登記完了後の速やかな提出
– 原本の添付確認
– 控えの準備
実務上の注意点
(1)書類作成時の注意
共通事項
- 正確な記載
- 押印の確認
- 日付の整合性
- 記載漏れの防止
添付書類
- 原本と写しの区別
- 有効期限の確認
- 部数の確認
- 原本証明の要否
保管
- 控えの保管
- 原本の保管
- データでの保存
(2)提出時の注意点
期限管理
- 変更から2週間以内(登記申請)
- 遅滞なく提出(役員変更届、登記届)
- 余裕を持った準備
- 提出予定日の設定
提出方法
- 提出部数の確認
- 控えの準備
- 郵送の可否
- 窓口受付時間の確認
(3)都道府県による違い
提出書類
- 様式の違い
- 必要書類の違い
- 提出部数の違い
- 原本証明の要否
確認事項
- 事前相談の要否
- 提出方法
- 受付時間
- 郵送の可否
手続きの流れ
(1)理事・監事交代の場合
事前準備
- 新任役員の書類準備
- 臨時社員総会の準備
- 辞任届の準備
手続き
…
- 臨時社員総会開催
- 役員変更届の作成
- 都道府県等への提出
…
(2)理事長交代の場合
事前準備
- 新理事長の書類準備
- 臨時社員総会・理事会の準備
- 登記申請の準備
手続き
…
- 臨時社員総会開催(必要な場合)
- 理事会開催
- 役員変更届の作成・提出
- 登記申請
- 登記完了
- 登記届提出
…
まとめ
臨時業務における役員変更手続きは、以下の点に特に注意が必要です。
- 期限の遵守
- 各手続きの期限確認
- 計画的な準備
- 余裕を持ったスケジュール
- 提出時期の管理
- 書類の完備
- 必要書類の確認
- 原本の準備
- 押印の確認
- 記載内容の正確性
- 定数管理
- 理事定数の範囲内での変更
- 定款との整合性確認
- 人数の適正管理
- 変更後の体制確認
なお、都道府県により要件が異なる場合がありますので、事前に確認することをお勧めします。
特に、提出書類や様式については、管轄する都道府県等に確認するようにしましょう。
また、理事長交代の場合は、登記申請も必要となりますので、期限管理には特に注意が必要です。
不明な点がある場合は、早めに相談することで、スムーズな手続きが可能となります。
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大岡山行政書士事務所
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